・前回のあらすじ
遠くへ行きたい。
飯能市にあるという「味噌付けまんじゅう」。まず「付き(ツキ・ヅキ)」ではなく「付け(ツケ・ヅケ)」であるところへ目が行きます。「付き」はカ行五段活用の自動詞で、「付け」はカ行下一段活用の他動詞。そういえば大相撲も「付き人」ではなく「付け人」ですが、あれは何故でしょうか。私は寡聞にして知りません。ただ、他動詞の方が何者かの介在する意志を感じます。そう、「ミソがついた」のではなく「ミソをつけた」のだという。
例えば。
「あの和菓子屋さんは商品の解凍日を製造年月日だと偽装していたことがバレて評判にミソがついた」
「酸っぱいイチゴに練乳付けて食べるくらいなら瑞々しいキュウリにミソ付けて食べた方がよっぽどうまい」
どうですか。ミソは付くより付ける方が良いと思いませんか。それとも例文が作為的過ぎますか。
閑話休題。飯能市で味噌付けまんじゅうが食べられることを知り、うだるような暑さの中、自転車に跨り、飯能市へと旅立ちました。ペダルを漕ぎ続け、固体である筈の我が身が、液体となり、果ては気体になってしまうのではないか、と思うほど体が熱をもちグツグツに沸き立った頃、目当てのお店に辿り着きました。
持ち帰りも出来ますが店内で食べていくことにしました。吹き出る汗をハンカチでひたすら拭い続けていると、程なくお皿にのった味噌付けまんじゅうが出てきました。
群馬の焼きまんじゅうと比べるとかなり小さめです。焼きまんじゅうはあんの入っていないものでもそこそこの大きさがあります。感覚的にはズボンの前ポケットに入れたくないくらい。歩いたり座ったりするとき邪魔になること間違いなしの大きさです。あん入りは更に大きくてズボンの後ろポケットにも入れたくないくらい。そもそもたっぷり味噌ダレが付いているので仮に半分くらいの大きさだったとしてもポケットには入れたくないですが。
ひと口齧ると中からあんこが顔を出しました。味噌付けまんじゅうはあん入りのみのようです。あんこはこしあんでした。
朝ごはん抜きで家を出てきたこともあり、味わう間もなく食べてしまいました。その後、店内で反芻するわけにもいかないので反省しながら考えてたのですが、あん入りのみであったり、まんじゅうの生地が固めであったり、焼いてから味噌ダレを付けたり、と群馬の焼きまんじゅうとは趣を異にするものであったように思います。しなしながら素朴でなかなか美味しいまんじゅうでした。
帰れ、と言われないのをいいことにその後もしばらく店内に1つしかないテーブルを占有してスマホで検索していると、埼玉県のホームページがヒットしました。
それによれば、「飯能市のご当地グルメである「味噌付けまんじゅう」は、飯能の名産である西川材を運ぶ職人達のお弁当として江戸時代から食べられていたものが起源なのだそうです。串焼きにした酒饅頭(こしあん入り)と甘味噌だれが見事に調和した逸品で、「第11回埼玉B級ご当地グルメ王決定戦」で準優勝に輝きました。(以上、完全なる抜粋)」とのことで昔からある有名なご当地グルメの1つだったようです。
ここである事に気付きました。ご当地グルメ、ということは当地には味噌付けまんじゅうが食べられる店が幾つもあるのではないか、と。
続く