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私達は日々、調査業務を行う事業体に調査開始から終了まで滞在します。その際、経費などの兼ね合いもあり、現状では同僚たちとアパートなどで共同生活をすることになります。
赤の他人が共に暮らすわけですから当然のこととして色々な不便や苦労があります。プライバシーの問題、生活様式の問題、などなど。抱える問題は人それぞれで、私としても不満は幾つもありますが、大体そういったアパートに備え付けられているトイレがウォシュレットではないことが多く、地味に苦労しています。
イメージ図
私は水道屋の倅なので、例えば寿司屋の子が他の家庭よりお寿司を食べる機会に恵まれているように、我が家のトイレに鎮座ましますウォシュレットはTOTOのカタログで一番値が張る、およそ原付バイクが買えるくらいのもので、大変贅沢なトイレ生活を送ってきたのです。
そのような高級トイレによって甘やかされた結果、私は、というか私のは、大変ナイーブで、幼気(いたいけ)な感じなのです。どこがそうなのかは具体的には書けませんが。そのためあのようなザラザラな紙を使うとあっという間にそこが痛い痛いの状態になってしまいます。尚悪いことに、私は幼少の頃よりトイレットペーパーの裏側が表になるよう巻いて使う習慣があるので、ことさら酷いことになってしまうのです。
今日も今日とて私の幼気な部分がヒリヒリするよ。。と思いながら用を足していた時に、あのフランソワ・ラブレーの大傑作「ガルガンチュワとパンタグリュエル」の一節を思い出しました。
ーーーーー以下抜粋ーーーーー
しかし結論といたしましては、産毛のもやもやした鵞鳥の子にまさる尻拭きはないと判断し且つ主張する者であります。もっとも、その首を股倉に挟んでやるのが肝腎です。これは、僕の名誉にかけてお信じくださりませ。と申すのも、鵞鳥の雛の産毛の柔らかさと言い、そのほどよい加減の暖かさと言い、お尻の穴に、得も言われぬ心地良さをお感じになりましょうし、鳥の体の温かさが、忽ち直腸[くそぶくろ]やその他の臓腑にも伝わり、遂には心臓や脳味噌のあるところにまで達するからでございます。
ーーーーーここまでーーーーー
ラブレーは天才だけど翻訳した渡辺一夫はもっと天才かもしれない
第一巻一三章「尻を拭く妙法を考え出したガルガンチュワの優れた頭の働きをグラングゥジェが認めたこと」で、ガルガンチュワはこの世の中にある何でお尻を拭くと気持ち良いか、ありとあらゆるものを試した結果、ガチョウの子が最高だという結論に達するのです。
そうか、ガチョウの子で拭いたらさぞかし気持ちいいんだろうな。ヒリヒリなんてしないんだろうな。いや、でも待てよ。もしかしたらもっと気持ちいい動物がいるのかもしれない。
ザラザラなトイレットペーパーに私のデリケートで幼気な部位だけでなく心まで傷物にされた私は、どんな動物でお尻を拭いたら気持ちいいかを自分の目で確かめるべく近所の動物園へと早速出掛けることにしました。
この頃は日が落ちるのもめっきり早くなりましたね
<続く>